出来事
授業づくりで学校をつくる ー6年 理科「水溶液の性質とはたらき」の授業からー
第一小学校は、授業づくりで学校をつくる取り組みを行っています。
前回報告できなかった北海道大学教授 守屋 淳さん来校の際の代表授業の様子についてお伝えします。
本単元は、「水溶液には気体が溶けているものもあること」「水溶液には金属を溶かす性質を持つものもあること」「水溶液は酸性、中性、アルカリ性に分けられること」などを実験を通して理解しながら、水溶液の性質とはたらきについてとらえることがねらいです。
本時は、1「酸性とアルカリ性の水溶液を混ぜるとどうなるか実験を通して知る」つまり、「中和」について理解することがねらいです。
実は「中和」については小学校の理科では扱いません。中学校3年生の内容です。本時は、水溶液には酸性、中性、アルカリ性の性質があることを知り、「混ぜるとどうなるの?」という問いを持った子どもの問いを何とかしようと授業者がチャレンジした授業です。
授業の様子です。。。。。
4人グループの机上にはペアで実験を進めることができるよう、2セットの実験器具が意図的に置いてあります。ペアで実験し学んだことを4人グループで確かめ合えるようにすること、誰一人傍観者が出ないようにすること・・・。教師の意図はそこにあります。
「混ぜるとどうなる?」授業者は何も言わず黒板こう記し、同じ濃さの酸性の塩酸とアルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液をまぜるとどうなるかを問いかけます。
一番前の女の子が「全然分かりません」と答えます。次に男の子は「わかんないけど、、、、酸性とアルカリ生を混ぜるんだから中性、、、、かな?」と曖昧な答え。
「分からない」ことを「分かる」ようにするのが授業。従って子どもの「分からない」はことさら大事にしないといけませんし、本来、授業は「分からない」から授業の足場をつくっていかなければなりません。
分からないことを分からないと言える子、それを受け入れ全員で寄り添える学級。本校の子どもはそこまで育っています。
「じゃあ、分かるようにしていこうか」と授業者は指示書を渡します。指示書も同じように二人で一枚。ペアでの学習を意図的に促しています。
指示書を作成し、配布するようになってから授業者が実験の手順や実験の仕方をくどくど説明することがなくなりました。こどもも、実験で困ったときは、授業者にたよることなく、実験をしながらもう一度指示書に戻って確認できます。
ここまで5分。一般的に活動に入るまでの時間は5分以内が有効とされています。だから間のびは禁物。授業者の長い話も禁物。子どもの意欲が下がってしまうからです。
「さあ、はじめよう。スポイトだけ混ぜる水溶液ごとに使うの気をつけてね。」と授業者。
共同と探究ー。わからいを分かるようにするための子どもの探究活動の始まりです。
授業者は、全体が見える位置にポジションを取り、子どもの活動を見守ります。子どもを信じ子どもの活動を保障します。
子どもはみな夢中。一人ひとりが学びの主人公。誰一人学んでいない子どもはいません。すごいことです。
「最初は大胆に入れてもいい」と指示書には書いてありましたが、子どもは慎重。それはそれですばらしいです。
「・・・!」全体を見ていた授業者が動きます。同じ濃さだった塩酸と水酸化ナトリウムが実は微妙に濃さがずれていて、期待した結果が得られていないペアがあったためです。
授業が始まって25分ほどたったとき、授業者は子どもの活動を切ります。
そして、全員が実験結果を共有できるよう最後に演示して見せます。
「アルカリ性の水溶液に酸性の水溶液を混ぜると・・・・・・ほら!」
「うわー!!」
BTB溶液が緑色になると、歓声を上げる子どもたち。すでに結果が分かっている子どもたちも歓声を上げます。こうして子どもたちは、自分たちが学んだことを振り返り、納得していくのです。
学びはこれで終わりではありません。課題の総括として、授業者は「同じ量、同じ濃さの塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜたら中性の水溶液ができた。どんな水溶液ができたか化学式を使って考えなさい。(塩酸・・HCl 水酸化ナトリウム水溶液・・NaOH)」と問います。
元素記号や化学式はこの単元に入ってから少しずつ学ばせていたとはいえ、これもまた中学生の学習内容。
前時までにも
○ 炭酸水のペットボトルのキャップをひねり、栓を抜いたら泡(二酸化炭素)がでた。泡が出た後の水溶液は何か、 右を使って考えよう。(炭酸水・・・H2CO3 二酸化炭素・・・CO2)
○ 塩酸にスチールウール(鉄)を入れたら泡(水素)が出た。泡が出た後の水溶液は何か、右を使って考えよう(塩酸・・・HCl スチールウール(鉄)・・・Fe 水素・・・H2)
○ 塩酸にアルミ箔(アルミニウム)を入れたら泡(水素)が出た。泡が出た後の水溶液は何か、右を使って考えよう。(塩酸・・・HCl アルミ箔(アルミニウム)・・・Al 水素・・・H2)
○ 水とけむりを混ぜたら酸性の水溶液になった。酸性の水溶液は何か右を使ってで考えなさい。ただし、けむり(S)は、空気中で酸素(O2)と結合する。(けむりと酸素の結合物質・・・SO2(二酸化イオウ) 水・・・H2O)
と、頭の中で現象の変化が納得できるよう化学式を用いて考えさせてきました。子どもは化学式を自分たちなりにたし算やひき算のようにして考え、考えたことをタブレットで確かめながら理解してきました。
今日も同じように、難問ですが、子どもは果敢にチャレンジします。分からないときは、一人で悩まず、友だちと支え合いながら「どういうことなのか」探究し、学び合います。本当にすばらしい子どもたちです。そして、、、しばらくすると、、、、、
「できた!! NaCl + NaOH → NaCl + H20 え? NaClって・・・・え?塩?・・・『NaCl + H20』って塩水?食塩水になっちゃうの??」と驚きの声。
授業者は、まぜあわせて中性になったその液体を取り、蒸発皿で蒸発させるよう指示します。
(食塩が析出したことに) 「うわぁ・・・・!!」と子どもたち。
子どもは学ぶ、学ぶのです。
授業の残りもあと5分ほど。
授業者はどうしようか悩んだ末に、「できるところまで進めよう」と決断し、さらに学習を進めます。
机上に、具体物とプリント。
プリントには、
誤って「まぜるな危険」と書いてある塩素系洗剤と酸素系洗剤を同時に混ぜて使ってしまった。これは大変危険である。危険な理由を化学式を使って考えなさい。なお、塩素系洗剤の主成分は次亜塩素酸、酸素系洗剤の主成分は塩酸である。(次亜塩素酸・・・HClO 塩酸・・・HCl)
と書いてあります。
さあ、考えてみよう!
みなさん、わかりますか?
子どもは、数人わかりました。チャイムが鳴ってしまったために、不完全燃焼の感じがあり、翌日みんなで考え直しながら学び直しました。
「楽しかったぁ」と子どもたち。
その声を聞き、「よかった」と思いつつ、内容がもりだくさんだったために急ぎ足で、子どもに十分な時間をとってあげることができなかったことに、ちょっぴり反省の授業者。
この後のリフレクションでは
〇 学びの主人公が子どもだったこと
〇 夢中になって探究し、全員が学びきっていたこと
〇 「分からない」と言える子どものすばらしさ
〇 タブレットで調べることに勝るノートでの振り返り
など、多くの話題が出ました。
子どもの学びが豊かだったから、子どもの学びから教師もまた多くの学びを得たのですね。子どもたちに感謝しなければなりません。
おまけです。この「水溶液の性質とはたらき」の授業は、授業者は今回紹介した1時間のみを中心と考え単元をデザインしていたのではありません。ある職員はほぼほぼすべての授業を参観したのですが、すべての授業が見所満載でした。
この単元は、そもそも提示した「謎の水溶液A~Eが何か突き止めていこう」ということからはじまった学習です。突き止める過程の中で、子どもは、「水溶液には気体が溶けているものもあること」「水溶液には金属を溶かす性質を持つものもあること」「水溶液は酸性、中性、アルカリ性に分けられること」をとらえ、理解してきました。また、実際に煙と水をあわせて酸性の水溶液をつくり、それが酸性雨が降るメカニズムであることもとらえてきました。
単元を通して子どもは学びの主人公になり、夢中になって学びきったのです。
ちょっと何枚か写真でお見せします。
授業づくりで学校をつくる ー北海道大教授 守屋 淳 先生の訪問ー
第一小学校は、授業づくりで学校をつくる取り組みを行っています。
この日、北海道より北海道大学教授 守屋 淳さんが来校。一日本校の教育活動を参観し、今後の授業づくりに向けたアドバイスがありました。
守屋さんは、大学で教育学の研究を進める一方で「北海道学びのネットワーク」を主宰し、北海道の教員の授業づくりについて指導的立場にあり、授業づくりの第一人者です。また、学びの共同体SVとして全国各地の学校の授業づくりと学校づくりを支える活動をされています。
今回、本校の取り組みについて、話をきき、ぜひ訪問させてほしいという依頼があり訪問が実現しました。北海道の教育について中心的立場にある守屋さんにきてもらえるという機会に職員一同この日を心待ちにしていました。
この日は全学級を参観するとともに、午後は代表授業を参観。さらには授業リフレクションと全体講話と本校にとって充実した校内研修の日となりました。
なお、守屋さん来校にあわせて、市教育委員会指導主事や市研修センター指導主事、市内の学校からも多数来校し、本校にとって大きな学びのある一日となりました。
以下、一日の流れに沿って紹介します。
1 全学級授業公開(3・4校時)
全25学級の授業をひらき、子どもの学びの様子を参観してもらいました。
互いに支え合いながら学ぶー。この一年で子どもはすっかり学び上手になりました。どの学級の子どもも穏やかなのです。気持ちよさそうに学んでいます。教師が教えるのではなく、子ども同士が支え合って学びながらつかみ取っていく。教師はそれを支えていく。
この一年の継続の子どもの姿が以下の写真。
どうでしょう。。。
写真をご覧になった皆様は一小の子どもや授業者の様子からどんなことを感じますか?
ペアやグループ学習で支え合って学ぶことを継続してきたことで、学校は様子が一変しました。
例えば、今回、教室を回っていたとき、友だちと喧嘩をして泣いていた子どもがいました。
友だちが声をかけています。「だいじょうぶ、泣かなくていいんだよ。」と。。。。教師も「悔しいことがあったら、先生にお話ししてごらん」とそばに寄り添います。
学級全体がやさしさにあふれています。支え合って学ぶことで、どの学級も互いが互いを理解し合い、うれしいことも、かなしいことも、くやしいことも、みんなで共有し合える子どもがたくさんいる学級となりました。とてもうれしいことです。
2 代表授業(5校時) 6年 理科 「水溶液の性質とはたらき」
本単元は、「水溶液には気体が溶けているものもあること」「水溶液には金属を溶かす性質を持つものもあること」「水溶液は酸性、中性、アルカリ性に分けられること」などを実験を通して理解しながら、水溶液の性質とはたらきについてとらえることがねらいです。
本時は、12時間扱いの最終。「酸性とアルカリ性の水溶液を混ぜるとどうなるか実験を通して知る」つまり、「中和」について理解することがねらいです。
あれ?と思う方もいるかもしれません。そうです。実は「中和」については小学校の理科では扱いません。中学校3年生の内容なのです。
しかしながら、この授業を進め、水溶液には酸性、中性、アルカリ性の性質があることを知ると、子どもは必ず「混ぜるとどうなるの?」という問いを持つのです。
この授業は、そんな子どもたちの問いを大切にし、構想した授業。授業者のチャレンジでもあります。
授業の様子です。。。。。
子どもの学びから多くのことを参観者も学ぶことができた授業。
実は、今回の授業については皆さんにお知らせしたいことがたくさんあります。
従って、この授業での子どもの学びの記録については、再度新たな記事にてお知らせすることにします。少しお待ちくださいませ。
とにかくすごいぞ。6年生!
3 授業リフレクション・全体講話
代表授業のリフレクションでは教師同士が授業での子どもの学びから学び合います。
そして最後は守屋さんによる全体講話。
話で大切だと思ったのは、「これからめざす教育の形は、授業では、子どもが学ぶ主体であって、教師はそれを支える存在となる」という話。
第一小学校の取り組みは着実に「これからめざす教育」に近づいており、授業の一端から「子どもが学びの主人公となっていること」「どの子も夢中になって学んでいること」「教室がどの子にとっても安心していることができる、受け入れられている場所であること」がうかがえたという話もありました。
子どもの目の輝くと同じくらい、教師にも多くの学びがあったなんともぜいたくな一日となりました。
守屋さんもまたきっときてくれるはずです。
その日まで、日々子どもと授業にチャレンジです。
代表授業の様子は、準備ができましたらまた掲載しますので少しお待ちください。
バスケしようぜ! ーバスケットボールの寄贈-
(株)ISUZU自動車様よりバスケットボール10この寄贈があり、校長室にて体育委員会の子どもへと伝達されました。
この寄贈は、本校とご縁がある福島ファイヤーボンズ様が、SDG’Sパートナーシップ協定を結んでいる(株)ISUZU自動車様に働きかけて実現したものです。
本当にありがたいことです。
寄贈式には、福島ファイヤーボンズ様、(株)ISUZU自動車様ともに来校。直接、育委員会の子どもが受け取りました。
「このボールをボロボロになるまで使って運動に親しんでください」と福島ファイヤーボンズ様、(株)ISUZU自動車様それぞれから話があり、運動委員会の委員長は、「いただいたボールを使って体育の時間や休み時間、たくさん運動します。」とあいさつ。
最後は、ボールを手に記念写真をとりました。
一小の皆さん、せっかくいただいたボールです。ぜひ使ってくださいね。
みんな・・・「バスケ しようぜ!」
いっぱい、いっぱい、ありがとう ー6年生を送る会ー
本日、快晴。6年生を送る会。
6年生を送る会は、毎年、卒業を目前に控えたこの時期に、お世話になった6年生に対し、1年生から5年生までの児童が感謝の気持ちを伝える場として行っています。
しかし、今年は特別です。
なぜなら、昨年度までは、感染症の影響もあり、1年から5年生までは、自分たちの発表が終わると他学年の6年生へのプレゼントの演技を見ることなく教室へ戻らざるを得なかったから。
4年ぶりに最初から最後までの時間を全員で過ごして、お世話になった6年生を送ります。
5年生が企画・運営にあたりましたが、飾り付けや招待状の作成などは各学年が分担して準備しました。
さあ、6年生の入場です。
そして5年生の「6年生を送る会」実行委員長のあいさつです。
この会に向けて、1年生から5年生までの子どもたちは心のこもった演技をプレゼントしようと練習を重ねてきました。
どの学年も、気持ちが伝わってくる発表でした。
では、発表順に写真をご覧ください。
① 1年生
1年生は歌とダンスのプレゼントです。かわいいダンスはとても引きつけられます。6年生もニコニコのほっこりです。
② 2年生
2年生はクイズ。シンキングタイムは運動会で話題沸騰だったのチェッコリーダンス(下写真)で色を添えます。
「間違ったら卒業しないでずっといてね」って2年生にいわれ、6年生も必死でした。・・・・しかし難問の連続。いやぁ、難しかったです。
③ 3年生
3年生は6年生にお世話になった場面を取り出して劇にして再現しました。声も大きくて立派でした。ダンスも上手で、6年生も楽しく見ることができましたね。
〇 朝のあいさつ運動
〇縦割り清掃
〇集団登校
④ 4年生
4年生は「よさこい」。6年生にも混ざってもらいながら一緒に楽しみました。実は、感染症で学級を閉じているクラスもありみんなそろって6年生へのプレゼントをしてあげることはできませんでした。だいじょうぶ。6年生への感謝の気持ちは人数がクスなくともちゃんと届いていましたよ。
⑤ 5年生
5年生は「鼓笛」の披露。披露に先立って、移杖式が行われました。6年生から5年生へ鼓笛隊がh機継がれます。移杖された指揮棒を手に主式の児童が「伝統を受け継ぎ、がんばります」とあいさつ。これから第一小学校の鼓笛隊は5年生が一年間しっかり演奏してくれます。「がんばれ5年生!」そんな思いを持って6年生は5年生の演奏をきいていたはずです。
さいごは、6年生が1年生から5年生へ向けて演奏とメッセージのプレゼント。
ぼくは、校庭で友だちと遊ぶのが好きでした。
わたしは、友だちと授業で難しい問題を考え合うのが好きでした。
第一小学校が大すきだと6年生。
そして、1年生から5年生に、同じように大すきな第一小でたくさん勉強してたくさん遊んでほしいと思いを言葉に乗せてを届けます。
6年生のメッセージは、心に刺さります。。。。6年生のみなさんすばらしいです。
退場です。。。。。
在校生から卒業生へ。
卒業生から在校生へ。
互いにありがとうを交換できたすばらしい時間でした。
このような会をつくってくれた1年生から5年生に感謝です。
とくに、5年生、よく頑張りました。ありがとう。
新班長 よろしくおねがいします。(^_^)/ -登校班 新班長始動!-
令和5年度の教育活動がいよいよもって1ヶ月をきる状況の中、令和6年度に向けた取り組みが少しずつですが着々と進んでいます。
今日の朝の登校の様子。
「あれ?なんか、違うな。。。。。」
不覚にも投稿者は今日から実施だということを忘れてしまっていていたのでした。
そうです。今日から登校班は班長が6年生から5年生へとバトンタッチされ、各班とも5年生を先頭にあるってくるのです。
「新班長!がんばって。よろしくおねがいしますね」と声をかけながら子どもたちの登校をむかえます。
今朝もまた、とびきり寒い朝でしたが、5年生の新班長を先頭に子どもは皆元気!!
6年生は卒業までの一ヶ月あまりは5年生の新班長を見守り、支えてあげながら一緒に登校します。
交通事故に遭わぬよう、安全に登校してくださいね。
新班長、よろしくお願いします。
そして、6年生の班長だった皆さん。1年間本当にありがとうございました。
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