授業づくりで学校をつくる ー3年 国語「ちいちゃんのかげおくり」の授業からー
(2週間ほど前の授業です。子どもと先生の姿がとてもすてきで、ぜひ紹介したいと思い、HPに掲載します。)
第一小学校は、授業づくりで学校をつくる取り組みに挑戦しています。
今回は、3年 国語「ちいちゃんのかげおくり(あまん きみこ作)」の授業。
この物語は長く3年生の教科書に掲載されている文学作品です。
授業は、本校の校内研修で開かれた授業で、本校教職員の他、研修センター指導主事も参観しました。
この作品の概要です。
第二次世界大戦の最中、ちいちゃん一家はちいちゃんとお父さん、お母さん、おにいちゃんと4人暮らし。あすはお父さんの出征。お父さんは家族に「かげおくり」の遊びを教えてあげます。足もとの自分の影をじっと見つめて10数え、空を見上げると影がそっくりに写って見えるというもの。「今日の記念写真だなぁ。」お父さんは出征していきます。
お父さんが出征後、家族は空襲にあいます。気がつくとお母さんもお兄ちゃんもいません。ひとりぼっちになったちいちゃんは、空腹に耐え、さみしさに耐え、そして、かげおくりをします。
さて、授業。
子どもたちは声に出して読みます。その声の様子から、何度も何度も読み込んできたことが分ります。
音読が終わると、「自分で読み取ったことを書き込んでいきましょう。」と先生。子どもは夢中。テキスト(文・ことば)と向き合い、どっぷりと物語に浸って、自分の考えを確かめたり新たな気づきを発見したり・・・。時折自分の考えを確かめるように友だちにささやく様子もみられます。
さて、12分ほど時間がすぎました。先生がうながすと読み取ったことを子どもは語っていきます。
まず子どもが注目したのは「空」。「青い空」ということば。
「空」という言葉がたくさん使われていること、しかもの空が防空壕の暗いイメージと違って「青い」ということ、そんなことから、ちいちゃんの気持ちに迫っていこうとします。
子どもの発言をよく聞くと「○ページの◎◎に」とか、「前には◎◎って書いてあったけど、」とかいう言葉が聞こえてきます。
これは、子どもがテキストを読みこんだ証(あかし)であり、テキストとじっくり向き合った証です。
そしてまた、友達の発言を聞いて「確かに」とか「違う」とか「えぇー!」とか言う言葉も聞こえてきます。
これは、聞き合っているという証であり、友達とつながっているという証です。
3年生でここまでできる様子から成長を感じます。
さて、子どもが語っている中で先生は一度だけこんな問いを子どもに投げかけます。
「ちいちゃんは家族にあえたのかなぁ。」
これに対しても子どもは、文章を手がかりに語っていきます。
「青い空から(声が)ふってくる。声が降ってくるって、変だよね。ちいちゃんにしか聞こえない声だ。」
「家族に会いたいっていうちいちゃんの気持ちがそういうふうに(そういう現象に)させたんだ」
と子どもたち。
すどいすごい。
参観者は子どもの読みの鋭さにびっくりさせられました。
授業も後半、ちいちゃんは幸せだったのかどうか、この1時間の読みを振り返りながら子どもは自分の考えをノートに書き込み、友達と考えを交流していきます。
最後は全体で相互指名までできるようになっている子どもに驚かされながら話を聞きます。
「あえて幸せだったかもしれないし、でも(死んで)悲しかったかもしれない。」
「あえてよかったと思うけど、(ちいちゃんのような)こんな人は増えてほしくない」
「「きらきら笑う」「走って」とか。。。。自分が死んだと気付かなかったけどちいちゃんは幸せだったのかな。」
「戦争がなく平和な世界だったらと思う。」
様々な考えが子どもからでてきてそれもまたすごいなと感心。
最後は役割読みです。もう一度読んでこの時間の学びを確かめます。
力強い声に、子どもの深い学びが感じられました。
みどころいっぱいの授業。子どもの学びの様子と先生が子どもの学びを支え、授業を作っていく様子に引き込まれた1時間でした。
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